フランスの「Statut」って何?会社設立の前に知るべきこと

 フランス語でStatutとは..

1.法的・社会的な地位や身分(ステータス)

例: Le statut de réfugié(難民の地位)
例: Changer de statut professionnel(職業上のステータスを変更する)

2.規則・規約・定款

例: Les statuts d’une association(協会の定款)
例: Les statuts d’une entreprise(会社の定款)

3.(比喩的に)状態や状況

例: Le statut de la demande(申請のステータス)
例: Statut en attente(保留中のステータス)

等、意味があります。

今回は会社経営の際に聞く、「Statut」=規則・規約・定款について詳しく解説していきます。

フランスの「Statut」って何?会社設立の前に知るべきこと


Photo de Emilio Garcia sur Unsplash


1. 定義

「statut(複数形:statuts)」は、組織や法人の運営を規定する 規則や法律上の文書 を指します。

特に 法人、協会、企業、団体 などの基本的なルールを定めた公式文書を指す場合が多いです。

2. 具体的な使われ方

(1) 会社の定款(Les statuts d’une entreprise)

会社を設立する際に作成される「定款」のことを指します。これは、企業の基本的なルールや目的、組織の構造などを明記した法的文書です。

内容の例

  • 会社の名称(Dénomination sociale)
  • 本社所在地(Siège social)
  • 会社の目的(Objet social)
  • 資本金(Capital social)
  • 経営者や役員の権限(Pouvoirs des dirigeants)
  • 取締役会や株主総会の運営方法(Modalités de fonctionnement)
  • 会社の存続期間(Durée de la société)

例文

  • Les statuts de la société doivent être déposés au greffe du tribunal de commerce.
    (会社の定款は商事裁判所の登記所に提出しなければならない。)

(2) 協会の規約(Les statuts d’une association)

フランスでは協会(association)を設立する際に、定款を作成することが求められます(「1901年協会法」に基づく)。

これは、協会の目的や運営方法を明確にするためのものです。

内容の例

  • 協会の名称(Nom de l’association)
  • 目的(Objet de l’association)
  • 会員資格(Conditions d’adhésion)
  • 役員の選出方法(Mode d’élection des dirigeants)
  • 会費(Cotisation)
  • 解散手続き(Procédure de dissolution)

例文

  • Les statuts de l’association précisent les droits et obligations des membres.
    (協会の定款には、会員の権利と義務が明記されている。)


Image by reallywellmadedesks from Pixabay

3. フランスでの法的要件

フランスでは、企業や協会を正式に設立する際には、statuts(定款)を作成し、必要な機関に提出することが義務 となっています。
特に企業の場合、定款は公証人(notaire)によって認証されることもあります。

4. 英語との比較

「statut」は英語の 「statute」(法令)に似ていますが、特に法人や協会の「定款」に関する場合は 「bylaws」「articles of association」 に相当します。

5. まとめ

  • 企業や協会の運営ルールを定めた公式文書 を指す。
  • 企業では「会社の定款」、協会では「協会の規約」として使用される。
  • フランスでは法人・協会の設立時に作成・提出が義務付けられている。

このように、「statut」は法人や団体の基本的なルールを定める重要な文書として使われます。


Photo de Emilio Garcia sur Unsplash

家族経営(Entreprise familiale)の場合の「statuts(定款)」

家族経営の企業(entreprise familiale)でも、一般的な企業と同様に「statuts(定款)」を作成する必要があります

ただし、家族経営特有の要素が含まれることが多いです。


1. 家族経営企業の定款の重要性

家族経営では、親族間のトラブルを避け、経営の安定性を確保するために、明確なルールを定款に記載することが特に重要 です。

  • 企業の存続を確実にする
  • 後継者問題を事前に解決する
  • 親族と外部の利害関係を明確にする

2. 家族経営の定款に含めるべきポイント

通常の企業の定款と共通する部分もありますが、家族経営特有の要素が追加されます。

(1) 会社の基本情報

会社の名称(Dénomination sociale)
本社所在地(Siège social)
会社の目的(Objet social):主にどんな事業を行うかを明記


(2) 資本構成と株主の制限

家族経営の場合、株式の譲渡や所有に関するルールが特に重要 です。
株主(Associés / Actionnaires)の条件

  • すべての株主を家族内に限定するのか?
  • 外部の投資家(銀行やベンチャーキャピタルなど)を受け入れるのか?

株の譲渡制限(Clause d’agrément)

  • 家族外の第三者に株式を譲渡する場合、他の家族株主の承認を必要とする ルールを設けることが一般的。

相続に関する規定

  • 親が亡くなった場合の相続方法を定める(Succession des parts sociales)
  • 相続人が経営に関与する場合のルール を明記する

例文:
"Les parts sociales ne peuvent être cédées qu’à un membre de la famille, sauf accord unanime des associés."
(持ち株は家族のメンバーにのみ譲渡できる。ただし、株主全員の合意がある場合を除く。)


(3) 経営権と意思決定

経営者(Dirigeant)の選出方法

  • 代表者はどのように選ばれるのか?
  • 役員(親族の役割)をどのように決めるのか?

後継者計画(Plan de succession)
家族経営の企業では、後継者問題がトラブルの原因になりやすい ため、定款にあらかじめ記載しておくのが望ましい。

例文:
"En cas de décès du dirigeant, la gestion de l’entreprise sera confiée en priorité à un héritier désigné par le conseil de famille."
(経営者が死亡した場合、家族会議で指定された相続人に優先的に経営が引き継がれる。)

家族会議(Conseil de famille)の役割
一部の家族経営企業では、親族間で重要な意思決定を行うために「家族会議」を設ける ことがある。
定款に家族会議の権限を明記することも可能。


(4) 退職や退出のルール

家族メンバーが経営から退く場合の取り決め

  • 退職後も株主として残れるのか?
  • 株式の売却価格の決め方

離婚・家庭問題への対応
家族経営の場合、離婚や親族関係の変化が経営に影響を及ぼす可能性 があるため、これに関するルールも考慮する。


(5) 企業の解散(Dissolution de l’entreprise)

✅ 会社を清算する際の手続き
✅ 事業を売却する場合の優先権(家族が優先的に買い取る権利を持つかどうか)




Image by Nicolae Baltatescu from Pixabay

3. 家族経営の定款の作成方法

フランスでは、家族経営の企業でも 定款(statuts)を作成し、商業登記所(RCS)に登録する 必要があります。
また、企業の形態(SARL, SAS, SA など)によって定款の内容が変わる ため、事前にどの形態にするかを決めておくことが重要です。

フランスの会社形態SARL・SAS・SAの違いとは?家族経営に最適なのはどれ?


4. まとめ

✅ 家族経営の企業でも 定款(statuts)は必須
株の譲渡や相続に関するルール を明確にすることが重要
後継者計画や家族会議のルール を定めておくと、トラブルを回避しやすい
企業の形態によって定款の内容が異なる ため、事前に専門家と相談するのが望ましい

家族経営の企業では、親族間の信頼関係が重要ですが、明確なルールを定款に記載することで、感情的な対立を防ぎ、長期的な企業の安定性を確保 できます。


コメント